【福井~金沢旅行記 Vol.3】兼六園・金沢城から近江町市場まで♡金沢観光1泊2日

石川県

福井から金沢まで、ゆったりと下道を選んでドライブ。効率や最短ルートは少し脇に置き、気の向くまま寄り道しながら景色や街並みに心を委ねる――そんな余裕のある旅路です。金沢は「歴史と伝統の街」として名高いけれど、実際に訪れてみると、その上品さに可憐な魅力が重なり合う、なんとも奥ゆかしい街並み。静かに歩みを進めるたび、気品と愛らしさが織り交ぜられた景色に出会えるのです。その余韻を、1泊2日の旅の記録として綴っていきます。


1日目:午後の金沢散歩

兼六園と金沢城公園

午後3時半、兼六園に到着。入園料はわずか320円と控えめながら、手にしたチケットと案内のパンフレットには、この庭園の誇る見どころが丁寧に記されている。門をくぐると、そこに広がっていたのは、値段以上の価値をはるかに超える、優雅で気高い世界だった。

小川や滝のせせらぎは澄んだ音を奏で、霞ヶ池には深い緑がやわらかく映り込む。夕顔亭は静かに佇み、まるで時の流れをゆるやかにほどくように、訪れる人を穏やかな時間へと誘ってくれる。

園内を歩けば、四季折々の草花が彩りを添え、それぞれの季節に異なる趣をもたらしてくれるのだという。その姿を想像するだけで、心が自然と次の訪れを欲してしまう。歩みの途中ふと、「また来る理由を、さりげなく私に授けてしまうなんて、本当にずるい庭園」と、思わず微笑んでしまった。

橋を渡れば、そこは金沢城公園。二の丸御殿は復元の途上にありながらも、その端正な姿に往時の気配を漂わせている。堂々と積み上げられた石垣や静かに水をたたえる堀は、長い歳月を越えてなお、この街の中心にしっかりと根を下ろしているかのよう。

少し高みに歩を進め、金沢の街並みを見下ろすと、眼下には古き時代の面影と現代の息遣いが同じ景色の中に溶け合っていた。その不思議な調和に包まれていると、まるで自分までもが歴史の一頁に組み込まれていくような心地がして、しばし立ち尽くしてしまった。


金箔ソフトの誘惑

歩き疲れた夕暮れ時に立ち寄った先で出会ったのは、金沢ならではの名物 ― 金箔ソフト。店員さんが、極薄の金箔をソフトクリームの上にそっと重ねる様子は、まるでひとつの儀式のように美しく、思わず息をのむ瞬間でした。

けれど、いざ口に運ぼうとすると、金箔は風に揺らぎ、唇に寄り添ってしまう。華やかでありながら、少し気まぐれなその姿は、まるで手の届きにくい「高嶺の花」を思わせます。

それでも、口に広がる冷たく甘いソフトクリームに、金のきらめきが加わると、ただの一口が特別な体験へと変わってしまうのです。お値段は891円(税抜)。少し贅沢に思えても、この一瞬のきらめきを味わえるのなら、十分に価値があると感じました。


道の駅 サンセットパーク内灘恋人の聖地/ダブルハート・幸せへの鐘・見晴らし台

17時45分。夕暮れを目指して足を運んだのは、「道の駅 サンセットパーク内灘」。
内灘大橋の向こうに広がる金沢の街並みは、ちょうど茜色に染まりはじめた空に溶け込み、一枚の絵画のような佇まいを見せていました。

道の駅の店内はすでに閉じていて、人影もまばら。それがかえって静けさを生み、遮るもののない夕陽のひとときを心ゆくまで味わうことができたのです。風の音と、ゆるやかに暮れてゆく光だけが寄り添ってくれるようで、とても贅沢な時間でした。

橋を渡った先には、「恋人の聖地」と掲げられた鐘つき堂がありました。案内板には「二人で向き合って鳴らす」と書かれていたものの、実際には中へ入ることはできず、鐘の姿さえ見えません。その代わりに、恋くじだけが妙に存在感を放っていて、少しばかり演出めいた雰囲気を感じてしまいました。

けれども、日本海へと沈んでゆく夕陽が空を鮮やかな紅に染める光景は、鐘の音よりもずっと心に響きました。静かな風景の中で、自然が奏でる一瞬の美しさに立ち会えたことが、なによりの贈り物でした。


夜の楽しみ:スーパー銭湯「ゆめのゆ」

19時、金沢のスーパー銭湯「ゆめのゆ」に足を運びました。浴場は広々としていて、洗い場もゆったり配置され、ひとつひとつの浴槽がしっかりとした余裕を感じさせます。今回は岩盤浴を目的に訪れたため、サウナは軽やかにスルー。とはいえ、外気浴のスペースや整い用の椅子も十分に整っていて、どこに腰を下ろしても心地よく過ごせました。

岩盤浴は男女共用・女性専用・クールダウン室に分かれており、石の種類も豊富です。岩塩、溶岩石、ラジウム、黒玉石……それぞれが微かに異なる熱を伝え、体をじんわりと温めてくれます。特に溶岩石は、ほんのり痛みを感じるほどに熱が浸透し、“痛気持ちよさ”が癖になりそうな感覚。静かな室内で深呼吸を重ねながら、日常の喧騒から離れる贅沢なひとときを堪能しました。

夕食には、温かいカレーうどんを選びました。最初のひと口は、ほんのりとした甘さが優しく広がります。そこへ添えられたソースを加えると、味わいはぴりりと引き締まり、辛口へと変化。甘さと辛さの絶妙なコントラストは、ふと自分自身の気分の揺れを重ね合わせてしまうようで、味覚の中に小さな物語を感じました。

夜は、150席以上のリクライニングシートでゆったりと過ごしました。指定席なので安心して身を預けられるものの、大勢の人がいる分、周囲のイビキが少しだけ気になる瞬間もあります。

室内は夜になると一斉に暗くなり、朝にはやさしい光で目覚めを促す――まるで一日が人工的に演出されたかのような感覚に包まれながら、穏やかに眠りにつきました。利用料金は一座席あたり300円前後と、静かな時間を過ごすには十分に手頃な設定です。


2日目:近江町市場の朝ごはん

午前9時、近江町市場に足を運びました。周辺には駐車場が点在しており、私が利用した「近江町いちば館駐車場」は30分100円、1時間150円と、観光地としてはとても良心的な料金です。

市場の中は朝の活気に満ち、観光客と地元の人々が入り混じる独特の熱気が漂っています。海鮮丼や生牡蠣に手を伸ばす人々の間で、私が選んだのは能登コロッケ(480円)と金沢カレーパン(420円)。揚げたての香ばしい香りと、サクサクの衣からあふれる旨味は、庶民的でありながらもここでしか味わえない、特別な贅沢を感じさせてくれます。さらに、ホタテバター(800円)は熱々で、海の豊かな香りが口いっぱいに広がりました。

市場には魚介や野菜だけでなく、お土産や衣料品まで並び、歩くだけでも飽きることがありません。金沢の朝を穏やかに、そして豊かに彩るには、この市場以上にふさわしい場所はないのではと思わせる光景でした。


まとめ

福井から始まったドライブ旅は、金沢でひとつのクライマックスを迎えました。
兼六園の静謐な景色、金箔ソフトの煌めき、夕陽に染まる海の優美さ、夜のスーパー銭湯で味わう心地よい解放感。そして朝の近江町市場の賑わい。どれもそれぞれに異なる表情を見せながら、全体として金沢という街を、上品で少し意地悪な魅力を秘めた存在に仕立て上げていました。

翻弄されつつも、その魅力に身を委ねる時間は心地よく、穏やかで特別なひとときとなりました。金沢は、自由気ままに旅を楽しむ者にとって、しなやかに遊び心を受け止めてくれる理想の街のようです。

次の記事では、福井~金沢旅行記の締めとして、金沢から敦賀までの道の駅を巡るドライブの様子をお届けします。

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