【福井~金沢旅行記 Vol.2】 道の駅寄りながら下道ドライブ旅

ドライブ

福井市から金沢市へ向かう道のりを、この日はあえて高速道路ではなく下道で進むことにいたしました。急がないからこそ生まれる寄り道の楽しみ、そして気まぐれに立ち寄る小さな発見。それらを織り交ぜながらのドライブは、真夏の暑さに翻弄される瞬間すら含めて、結果として心に残る満足度の高いひとときとなりました。


福井出発、ゆるりと北上

正午を少し回ったころ、福井市を出発。お盆前の空は澄み渡り、容赦のない日差しがフロントガラス越しに降り注ぎます。冷房を効かせても、じんわりと汗がにじむほどの陽射し。シートに身を預けながら、「もし高速を選んでいたなら、もっと早く着けるのかな」と思いつつも、この日は時間を贅沢に使うと決めておりました。

下道は信号も多く、交差点で停まるたびに助手席のバッグが小さく揺れます。その度にふわりと漂うのは甘やかな香り。そう、この旅の最初の立ち寄り先は「道の駅みくに」。おやつを求めて、車はゆったりと北へ進んで行きました。


道の駅みくにでメロンパンに一目惚れ

12時半頃、「道の駅みくに」へ到着いたしました。昼時ということもあり、駐車場はすでに大混雑。空きを探して場内をぐるりと一周し、ようやく見つけたわずかなスペースへ、慎重にバックで車を滑り込ませました。その瞬間、車内にこもっていた熱気が一気に流れ込み、思わず顔をしかめるほどの息苦しさに包まれました。

館内へ足を踏み入れると、さらに熱気を帯びた活気に驚かされます。レストランも特産品コーナーも人であふれ、手にしたカゴ同士が何度もぶつかるほど。昼食を求めて訪れる方が多いのでしょう。けれども長蛇の列に並ぶのは気が進まず、満腹で苦しくなるのも避けたい気分。この日は肩の力を抜いた旅ですから、無理をせず特産品コーナーをひと巡りいたしました。

観光推奨品として目を引いたのは、その名も「あらわ温泉パン」。重厚な袋を持ち上げてみれば、パンというよりまるで弁当のような迫力です。興味は尽きませんでしたが、今のお腹には到底収めきれそうにありません。

その代わりに手に取ったのが「三里浜メロンパン」。袋越しに伝わるふんわりとした感触と、漂う甘やかな香りに即決でした。丸みを帯びた姿は愛らしく、焼き色の加減も実に美しい。レジを通した時点で、ドライブのお供はこれに決まったと胸が躍りました。

車に戻り、袋を破ってひと口。ふわりと柔らかい食感に驚かされ、軽やかな甘さが口いっぱいに広がります。真夏の暑さに少しぐったりしていた身体に、心地よい糖分が染み渡ってゆくのを感じました。窓の外では観光客が次々と出入りしている。その様子を眺めながら、車の中でメロンパンを頬張る自分に、ひそかな優越感を覚えます。


人生初の石川県、最初の一歩はコンビニ

再び車を走らせ、13時半ごろには石川県加賀市へ入りました。これが人生で初めての石川県。記念すべき最初の立ち寄り場所が「ファミリーマート」だったのは、ちょっと拍子抜けですが、それもまた旅らしい出来事です。

連日の猛暑で、まずは冷たい飲み物を調達しようと立ち寄りました。自動ドアが開いた瞬間に流れ込んでくる冷房の冷気に、思わずほっと息が漏れます。冷蔵棚にずらりと並んだペットボトルの水が、まるで宝石のように輝いて見え、手に取った瞬間のひんやりとした感触に口元が自然と緩みました。

会計を済ませて車に戻ると、閉め切られた車内はまさに灼熱地獄。急いでエンジンをかけて窓を全開にし、水をひと口。喉の奥まで冷たさが流れ込んでいき、体の中にこもっていた熱が一気に和らいでいくのを感じました。

「初めての石川での最初の思い出はコンビニの水」。少し笑えるけれど、きっと忘れられない記録になりそうです。


道の駅こまつ木場潟で見つけた工芸品

14時ごろ、「道の駅こまつ木場潟」に到着。みくにからは車でおよそ1時間。駐車場はかなり賑わっていて、停める場所を探すのに少し苦労しました。

建物に入ると、まず目に飛び込んできたのは農産品コーナー。地元で採れた野菜や果物がずらりと並び、その鮮やかな色合いに思わず足を止めます。けれど、この道の駅で特に印象に残ったのは工芸品でした。

丸谷焼のコップや茶碗は、素朴でありながらどこか上品さを感じさせます。釉薬のかかり方や焼き色の違いがひとつひとつに表情を与え、並んでいるだけで存在感がありました。さらに奥へ進むと、テレビでも紹介された竹細工のコーナー。繊細に編み込まれた模様が美しく、日常に取り入れたくなるような実用的なデザインに目を奪われました。

結局、買い物かごに入れたのは「特上加賀ほうじ茶」。袋を握っただけでふわりと漂う香ばしさに惹かれ、迷わず選びました。家に帰って急須に湯を注ぎ、立ちのぼる湯気とともに香りを楽しむ自分を想像すると、それだけで胸が弾みます。


下道ドライブのリズム

15時半ごろ、ようやく金沢市に到着。高速を使わず下道でのドライブは、信号にたびたび引っかかるのが難点です。けれど、その分だけ周りの景色をじっくり眺められるのが魅力でもあります。広々とした田園風景から、少しずつ建物が増えていく街並みへと移り変わっていく様子に、「金沢に近づいているな」と実感が湧いてきました。

助手席には、道の駅で買った三里浜メロンパンの袋がまだ甘い香りを放っています。ラジオからは軽快な音楽、エアコンの風は心地よく、そしてさっきコンビニで買った冷たい水。そんな小さな要素が重なり合って、車内にはゆったりとした時間が流れていました。


まとめ

福井から金沢までの下道ドライブは、思い通りに進まなくても楽しみ方が尽きません。道の駅みくにで出会ったメロンパン、石川県に足を踏み入れて最初に立ち寄ったコンビニの水、こまつ木場潟で手に入れたほうじ茶や工芸品。どれも小さな出来事ながら、旅の記憶を確かに彩るピースとなりました。

下道は時間がかかりますが、そのぶん寄り道が増えて、思わぬ出会いもある。少し大げさに言えば、高速では味わえない景色や空気があるのだと思います。今回のドライブも、そんな“寄り道の特権”が詰まった一日でした。

そしてゴールの金沢は、全国的にも知られる観光都市。兼六園や21世紀美術館はもちろん、食や宿にいたるまで楽しみの幅が広い街です。今回の下道旅のハイライトは、実はこの金沢編から。次は、そこで出会ったグルメや観光スポットを紹介したいと思います。

金沢編はこちら

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